« 放射能汚染された焼却灰28トンが秋田県に搬入されていた! | トップページ | 今回の汚染牛肉は「安全」なの? »

2011年7月13日 (水)

原子力発電所のストレステスト

菅総理の突然の表明で有名になった「ストレステスト」と言う言葉。

原子力発電所におけるストレステストとは、EU・ヨーロッパ連合が、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて導入したリスク管理手法の一つで、原発の安全性をシミュレーションによって確認するものです。

原子力安全・保安院によれば、地震や津波の規模を段階的に大きくしていった時に、原発の設備や機能にどのレベルでどんな影響が出るかをシミュレーションするとのことのようです。

また、このストレステストは基準を超えた重大事故や自然災害にどれだけ耐えられるか、余裕分がどれくらいあるかを示すものとしてしています。

あくまでこの余裕分を調べて信頼性を高める追加的な評価との位置づけなのです。

つまり、安全基準を満たしていれば運転可能だという立場は崩していません。


中部大学の武田邦彦教授は、ブログにおいて

「ストレス・テストの怪・・・誤魔化されるようなら日本はダメだろう」

と題し、日本のストレステストについて、

”実にバカらしいこと”

とバッサリ切り捨てておられます。

ここに紹介させていただきます。

-----ここから-----

原発再開のために政府は突如として「ストレス・テスト」というのを出してきた。

内容を聞くと「震度6の地震がきた」とか「10メートルの津波が来た」というように「危険なことが起こる想定」をして、その時に原発がどうなるかをシミュレーションで調べると言う。

・・・・・・

実にバカらしいことだ。

このようなことで、もし日本国民が納得したら、やはり「日本では原発はできない」ということになるだろう。

この方法の欠陥は3つ。

(1)従来からの方法と変わらない、

(2)コンピュータは「現在想定していることしか分からない」、

(3)想定外のことが起こった福島原発の教訓が生きない。

原子力発電所の大事故については、多くの研究や検討があり、普通は[シビアー・アクシデント]と呼ばれていた。

つまり、臨界事故や今回のような冷却が出来なくなる事故などは、大事故として予想されていた典型的なものだ。

それなのになぜ、今回のような大事故になったのだろうか?

・・・・・・・・・

沸騰水型の原子炉では、冷却水の循環は比較的、単純で原子炉の熱で直接、水を沸騰させて高圧の蒸気にして、それでタービンを回し、その後、熱交換機(復水器)を使って海水で冷却して、また原子炉の戻す。

この場合、たとえば次のようなことが起これば冷却ができなくなる。

1)原子炉への配管が割れたり、外れたりする、

2)タービンに異常が起こり、タービンからの蒸気を復水器に回せなくなる、

3)復水器につまりが起こり、そこで冷却が停滞する、

4)海水の水位が急激に下がり、取水口から海水を取水出来なくなる、

5)循環ポンプが故障する、

6)循環ポンプや電磁弁への電気が来なくなる、

7)温度や圧力を測定する計装系に異常が起こり、たとえば冷却水が止まっているのに、冷却していると誤認して循環を止める、

8)人間が非常時を誤って判断して、冷却を止める、もしくは冷却を止めるつもりはないが、スイッチを間違える。

・・・・・・

このような非常時の想定は幾らでもあって、どの異常は起こるが、どの異常までは起こらないという「想定」が必要である。

今回は、「3つの電源を一度に失うことはない」という前提(想定)があった。

それは主電源、予備電源、非常用発電(ディーゼル発電)の3つを一度に失う「確率」がきわめて小さいと見られたからである。

ところが現実には電気は止まった。

原因は、2つ考えられる。

一つは:震度6の地震で配管が破壊された。もしくは冷却系に異常が起きた。

二つは:津波で電源が水をかぶった。

今のところ、どちらであるか分かっていない。

事故が起こったことから考えると、どちらでも良いが、それが「想定外」だったからだ。

たとえば主電源、予備電源、非常用発電のいずれもが建屋の地下にあり、津波の水をかぶったということが原因と言われている。

もし、これが本当なら、なぜ「大雨」、「洪水」、「津波」など普通の災害を考えなかったのか?ということになる。

この「想定」をすれば「ストレス・テスト」ではなくても、普通の「安全性検討」で安全に疑問が生じるはずである。

しかし、安全については東電内部の検討、保安院の審査、それに一般的な考え方についての安全委員会の了承は得られている。

これまでの「シビアー・アクシデント」の研究で、「洪水」が想定されていなかったとすると、ストレス・テストでも想定しないだろう。

・・・・・・・・・

実は「安全」というのを守るためには「程度問題」との戦いであることが分かる。

「北朝鮮が原発を爆撃してくる」・・「そんなことは起こらない」

「大雨の時に従業員が建物の戸を閉めるのを忘れる」・・「水浸しになるまで誰かが気が付く」

など、

「こういうことが起こる」・・「そんなこと、起こらない」

というのとのせめぎ合いである。

楽観的な人は途中でバカらしくなってくるし、悲観的な人は普通にはあり得ないところまで考える。

だから、なかなかケリがつかない。

・・・・・・・・・

なにしろ、現在は東日本の原発は、青森の東通、宮城の女川、福島の福島第一、第二、茨城の東海の各原発が2011年の震度6で壊れ、新潟の柏崎、石川の志賀が2007年の震度6で壊れ、静岡の浜岡が自主的に停止している。

つまり、「震度6」の地震を乗り切った東日本の原発は皆無であるという現実もある。

一方、震度6以上の地震はここ10年で13回あったから、西日本に地震が起こるとほぼ間違い無く原発は壊れる。

震度6の想定もしていなかった。

それでも、「玄海原発の安全宣言」が出たぐらいだから、適切で今までの事故例を参考にしたストレス・テストの前提を作れるはずもない。

私は「ストレス・テスト」というのは今までもやっていることを、名前を変えてハードルを上げたように見せかける卑劣な提案と思う。

もう少し誠意を持って欲しい。

もし、政府が「原発は危ないけれど電気がいるから動かす」というなら、そのように言って、住民をあらかじめ退避させるとか、救命ボート(バス、マスク、風向計)を準備するとかして、誠意を見せたらどうか。

-----ここまで-----

|

« 放射能汚染された焼却灰28トンが秋田県に搬入されていた! | トップページ | 今回の汚染牛肉は「安全」なの? »

原発・放射能」カテゴリの記事