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2011年3月29日 (火)

プルトニウムの毒性

プルトニウムの毒性について、内閣府原子力委員会専門委員である中部大学の武田邦彦教授がコメントをしていますのでご紹介します。

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今回の福島原発では、1号機、2号機、4号機が通常のウラン燃料を使っています。

ウラン燃料というのはウラン235を核爆発させるもので、多くの原子炉で使われているものです。

これに対して3号炉は、プルトニウムという元素を燃料に使っています。

これはウラン235を核爆発させますとプルトニウムはできますので、それを回収して再度、燃料として使うのです。

つまり、普通のウラン235の燃料の時には4.5%程度のウラン235の純度で燃料として使うのですが、プルトニウムは9%程度で使用します。

また少しややこしいのですが、ウラン235燃やすとプルトニウムができます。

お役目が終わって燃料を取り出すときにはある程度のプルトニウムを含んでいます。

ところで、プルトニウムがなぜ問題かというと、一つにはプルトニウムというのは自然界にはない元素でウラン235の核爆発で作られます。

第2番目はプルトニウムには非常に強い毒性があるという考えられていることです。

大震災と福島原発の事故の後なので、これまで話を控えていましたが、広島の原爆がウラン235、長崎の原爆がプルトニウムでした。

そこで今回、万が一、3号炉が水素爆発したときに、プルトニウムの飛散が予想されますので、それに対して事前に準備をしておくべきかどうかを中心に話をしたいと思います。

プルトニウムの毒性は次の三つです。

1.   放射線が強い、

2.   放射線の中でも体の表面や内蔵の表面を損傷する、

3.   人体へ特別強い毒性を持っていると言われている。

わたくしがウラン濃縮の研究をしている当時、プルトニウムの毒性を知ることが大切だったので、かなりの量のアメリカの文献を読んだことがあります。

ウランが核爆発をする条件とか、プルトニウムの毒性の基礎的な研究は、第2次世界大戦時代のアメリカに最も多く、特に初期の研究では研究者の死につながるような事故等も伴いながら研究をしています。

従って、その時代の文献はとても大切です。

また長崎原爆、チェルノブイリ等、関係する資料も比較的整理されています。

それらによると、プルトニウムの特性は次のように考えられます。

1.放射線は強いのですが、放射線の量を常に測定して管理しておけば、他の放射性物質と同じと考えられる、

2.放射線の中でも体の表面や内臓の表面を損傷する特徴があるが、これもプルトニウムばかりでなく他の放射性物質でもその程度は同じ、

3.プルトニウムだからといって人体に特別な毒性はない。

1.や2.はすぐ理解できると思います。

まず外から来る放射線は人間にとって「どの放射性物質から出ている放射線か」かということをわかりません。

放射線の種類やエネルギーによって人体に対する影響が決まるだけです。

プルトニウムか体内に入った場合ですが、ほとんどは口から入ったら、胃や腸を通って比較的早い時期に排泄されます。

その時に、消化器官の表面に放射線があたりますが、これもプルトニウム以外の放射性物質と同じです。

このようなことから、プルトニウムだから毒物だということないというのがわたくしの判断です。

このようなわたくしの判断は今までも機会のあるときに、話してきましたが、それに対して、主に原発反対派の人から強い反論があります。

それはプルトニウムの毒性は特別で「角砂糖5ヶで日本人が全滅する」と言われます。

わたくしは責任ある立場でしたから、事実を調べるために、随分文献を読んでみましたが、このような毒性を見つけることはできませんでした。

科学的事実に賛成派も反対派もないのですが、この件についてはわたくしは「推進派」と同じ考えです。

繰り返しますが、科学的事実には推進派も反対派もありません。

ただ国民の健康だけを考えて判断する必要があります。

それなのに、「プルトニウムの毒性」という問題を、科学ではなく思想の問題に置き換えてしまうことが、これまでこの問題がハッキリしなかった原因です。

おそらくこのブログでも、ここで「プルトニウムの毒性は特別なものではない」と書きましたので、「武田はけしからん」という反論もあると思いますが、プルトニウムの毒性は科学的事実ですから微量のプルトニウムによって、大きな損傷を受けたという医学的事実が必要なのです。

ところで、「プルトニウムの毒性は特別である」という考えに対して、2006年に電気事業連合会が反論を出しています。

ただ、電気事業連合会の普通の説明と同じで、「プルトニウムを燃料に使うことは安全である」ということを繰り返しているだけで、厳しく言えば答えになっていないという面があります。

少なくともプルトニウムの毒性に対して心配している人がいるのですから、形式的な答えではなく、実質的に踏み込んだ答えをしていればプルトニウムに対する不安感はかなり弱まったと考えられるからです。

わたくしはこのブログで常に国際放射線防護委員会 (ICRP)の勧告に基づいて作られた日本の法律の考え方と数値を使っていますが、それによると、プルトニウムはごく普通の放射性元素として分類されています。

わたくしがウラン濃縮研究をしているときに、ウランとプルトニウムの人体内での振る舞いがかなり似ていることを知りました。

ウランもプルトニウムも、

1)   比較的、消化器表面を損傷する放射線を出すこと、

2)   人間にとってウランもプルトニウムも必要のない元素なので口から入ったら比較的短時間で排泄されること、

3)   ウランやプルトニウムは腎臓に行きますが、それは排泄のためであり、だから早期に排泄されること、

4)   ウランを間違って飲んだ例では、障害がでていないこと、

等です。

生物関係の方面ではよく知られているように、「人間は必要なものは取り込み、不必要なものを排泄する」という機能を持っています。

例えば人間の血液に必要な「鉄」を考えますと、鉄の放射性同位体が体の中に入ると、人間の身体は「放射性かどうか」を見分けることができないので、その鉄を体に取り込んでしまいます。

体に取り組むとそのあとずーっと放射線を浴びることになります。

逆に、ウランが入ってきてもどこに使っていいかわからないので、すぐ排泄してしまうのです。

このように、ウランやプルトニウムが人間に対して強い毒性を持たないのは、人間が使う元素ではないということが決定的な理由だとわたくしは考えています。

従って福島原発からプルトニウムか飛散しても、これまで通り放射線の強さに注意していれば大丈夫ということになります。

プルトニウムを燃料に使う3号炉について、わたくしはこれまで、危険度を他の号機に対して2.5倍にしていました。

この理由は、第1にプルトニウムの特性をもう一度調べてみようと思ったこと、第二に燃料の中の放射性物質の状態がウラン燃料と違い、やや危険側にあるということで、2.5倍をかけていました。

現在でも3号炉については、やはり2.5倍程度の数字は必要と思います。

これはプルトニウムを燃料とする軽水炉の大事故が初めてであるということです。

3号炉に関する最終的な結論は、「注意しておかなければいけないが、決定的にわたくしたちの健康に影響を及ぼすものではない」ということです。

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